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【データコラム】サイドアウト戦略

コラム

2019.11.28



こんにちは、Vリーグ公認アナリストの宮脇です!

前回までの”ツウ”アタックで、サイドアウトやブレイク、ローテーションについて解説してきましたが、今回はサイドアウト局面での戦略について具体的に解説していきたいと思います。


今回ポイントとなる数字は「3分の〇」です。


 1.チームの戦略が凝縮されたサーブレシーブのフォーメーション


サイドアウトとは前回のコラムで解説したように、サーブレシーブから始まるラリーで得点を取ることです。まずはそのサーブレシーブのフォーメーションを工夫し、スムーズに攻撃が仕掛けられるようにしなければいけません。

具体的には、誰をどこから攻撃させるか、セッターができるだけ移動しやすいようにするなどを考えます。各チームの戦略の特徴が出やすいのがバックライトにセッターがいるS1ローテーションです。

 

図1:S1フォーメーションのサーブレシーブパターン




  
ジェイテクトSTINGSのサーブレシーブフォーメーション(S1)                      パナソニックパンサーズのサーブレシーブフォーメーション(S1)
  

 

 S1フォーメーションはセッター対角・オポジットの選手が前衛のレフト側にいるローテーションです。
 図1のパターン①では、前衛の選手がレフト側に集まり相手のサーブが打たれた瞬間にオポジットはライト側に移動し、アウトサイドヒッターはレフトから攻撃します。このパターン①のメリットは前衛の選手が本来のポジションから攻撃を仕掛けることができる点です。一方でデメリットはリベロがライト側にいることで前衛の攻撃陣が並んだレフト側をサーブで狙われやすい点とオポジットの移動距離が長く十分な状態でスパイクが打ちづらいという点です。

 
 次にパターン②は最初の位置のまま攻撃を仕掛けます。前衛の3選手が大きく移動しなくていい点とリベロが中央でサーブレシーブに参加できます。一方で、オポジットがレフト攻撃を苦手としていたり、アウトサイドヒッターがライト攻撃を苦手としていた場合はデメリットになります。

 パターン③は私も帯同した今年のU20世界選手権で日本チームが実際に行ったフォーメーションです。パターン①・②と違うのは、オポジットがサーブレシーブに参加している点です。アウトサイドヒッターがネット際からレフトに移動し攻撃を仕掛けます。当時のアウトサイドヒッターはJTマーヴェラスの西川選手で、オポジットにはNECの曽我選手が入ることが多かったです。
 もう一つ決定的に違う点はセッターがセットアップに要する距離が短い点です。相手からサーブが打たれてからすぐにネット際のセットアップポジションにつくことができるのでセッターとしては余裕をもってサーブレシーブからの返球を待つことができます。

 サーブレシーブのフォーメーションにはどのパターンであってもメリットとデメリットがあります。サイドアウトを取る確率(サイドアウト率)は約7割ですので、およそ「3分の2」はサーブレシーブ側がラリーを取ります。サイドアウト率を高めるためにチームが最適だと判断したフォーメーションにも注目してみて下さい。




 2.チームの頭脳 セッターによる攻撃の組み立て


 サーブレシーブのフォーメーションの次は、どんな攻撃をどこから仕掛けるか、攻撃の組み立てについて解説していきます。攻撃の組み立てを考える際に重要なことは、相手のブロックシステムを理解することです。それによってコンビの組み方、どこから攻撃するかが変わってきます。

 今回は、ミドルブロッカーの動き方と、サイドブロッカーの動き方の特徴に分けて詳しく説明していきます。



 2-1.相手MBの動きのクセを観察せよ


 まずは相手ミドルブロッカーの動き方の特徴から戦略を練る方法です。現在のVリーグはリードブロックといってセッターがトスを上げてからそれに反応してブロックを跳ぶというのが主流になっています。
しかし人によってクセや特徴があります。そのクセを利用して攻撃の戦略を立てていきます。

 例えば、セッターに完璧に返球され、自チームのミドルブロッカーがBクイック(セッターから前方2mほど離れた位置での速攻)で攻撃を仕掛けたとします。その時、相手のミドルブロッカーがおとりのBクイックに対して反応するようなクセやブロック戦略をとっている場合、ブロッカーが集まっているBクイックやレフト攻撃は使わず、1対1になりやすいライト攻撃やパイプ(バックアタック)攻撃が効果的になります。




日立リヴァーレ 窪田美侑選手のライト攻撃




 2‐2.相手サイドブロッカーの突破口を見つけよ


 次にサイドブロッカーの特徴を捉えた攻撃の組み立てです。まず基本となるのは、一番高さの低い選手がブロックしている場所から攻撃を仕掛けることです。例えば相手チームの前衛ライトの選手が、最高到達点が一番低いとすると、その選手と対面するレフト側から攻撃を仕掛けるよう攻撃を組み立てます。当然相手もそこから攻撃されるのをわかっていますので単純にレフトにトスを上げてもブロッカーが2人揃うことになります。少しでもブロックがきっちり揃わないようにするために、ミドルブロッカーをおとりとしてAクイックやCクイック(セッターの真後ろでの速攻)に入れて相手のミドルブロッカーの注意をひきつけ、レフトにトスを上げた時の反応を少しでも遅らせます。

 サイドブロッカーがどういう動き方をするかも重要です。例えば、速攻に対してミドルブロッカーだけではなく、サイドブロッカーも手を出してくるのか出せないのか。サイドブロッカーが速攻に対して手を出してこず、ミドルブロッカーが1対1となる状況を作れるのであれば、積極的に速攻を使っていくべきという判断ができます。

 横移動のスピードも攻めどころとなるケースもあります。特に女子の場合に多いですが、片足でライト側に走って攻撃するワンレグ攻撃に対するブロックの跳び方です。サイドブロッカーの横移動のスピードが遅い場合には、アンテナ付近までトスを伸ばした長いワンレグ攻撃が効果的になりうると思います。

 

 今回は、相手のミドルブロッカーとサイドブロッカーの特徴に分けて攻撃の組み立てというサイドアウト戦術について解説してきましたが、実際にはそれらが複雑に組み合わさっているので、その都度最適なコンビを組み立て、攻撃を選択する必要があります。

 セッターは攻撃を組み立てる際、相手のコートに立っている3人のブロッカーと戦っています。アタッカーには出来るだけブロックがつかない状況を作ってあげたいと考えているので、セッターは頭の中でブロックを「3分の1」にしてあげられるような攻撃の組み立てを考えています。その点ではセッターは華やかなポジションではありませんが、試合中はすごく頭をつかっていて大変なポジションです。Vリーグを観戦するときはアタッカーだけではなく、それを操っているセッターの動きとトスの配分にも注目してください!

 

 次回のデータコラムでは、サーブ側のチームがとる「ブレイク」戦略について解説します。各チームのサーブやブロック、ディグの戦略を週末の試合で注意して見ておいてください! 

 

 

 

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<Vリーグ公認アナリスト>

宮脇 裕史(Hiroshi Miyawaki)

2007-2014 JTマーヴェラス コーチ兼アナリスト

2014-2016 バレーボール・女子日本代表 サポートアナリスト

2017-    バレーボール女子アンダーエイジカテゴリー日本代表・アナリスト

      (公益財団法人日本バレーボール協会)

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